3: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/09/19(火) 00:00:23.93 ID:lKcuUgd9o
千歌「でも感謝してるのは本当だよ?」
千歌ちゃんが私の目を覗き込みながらながら、そう言う。
……でもね。
梨子「……ううん、むしろ、感謝してるのは私の方だよ」
千歌「ふぇ?」
梨子「……私、千歌ちゃんと出会わなかったら、もう作曲もピアノも出来なかったかもしれないから……」
千歌「……そうなの?」
梨子「……うん。千歌ちゃんがいなかったら、周りの期待とか不安とかいろんなものに押しつぶされて……ダメになってたと思う。」
きっと、ピアノの楽しさを思い出すことなんて、出来なかったと思う。
千歌「でも、梨子ちゃん初めて会ったときも音を探してたし……そんなことないんじゃないかな?」
梨子「がむしゃらだっただけよ……必死だったの。千歌ちゃんがいてくれたお陰でやっと道が見えたというか……」
千歌「……?」
千歌ちゃんは私の言葉に首を傾げた。
ふと、今日と言う日──私の誕生日ということであることを思い出す。
梨子「って言われても、わからないよね。まだ、皆来るまで少し時間あるから……少しだけ、昔話しよっか」
私はゆっくりと思い返しながら、語り始めた。
そう……ある日、ピアノと向き合うことが出来なくなった、一人の少女の話を──
* * *
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