3:名無しNIPPER[saga]
2017/09/16(土) 23:11:00.05 ID:KS3A+iW2O
手でリズムを取りながらカウントするトレーナーの動きが止まり、トレーナーは首を振りながら音楽の再生をストップさせる。当の奈緒本人はなぜ自分が転倒したのか全くわからず、床にへたりこんだままぽかんとしていた。
トレーナーは奈緒を気の毒そうに見つめ、宣告するような口調で言った。
「神谷、今日はもう帰れ」
「……え?」
唐突すぎる。訳が分からずに奈緒はつい聞きかえす。運動によってひどく自己主張してくる鼓動は、動揺によってもまた自分を顕示した。
「ダンスのキレが悪い、普段ではミスをしないようなところでミスをする、そして何より全体的に粗が目立つ。まるでダンスレッスンを受けて間もない人間のようだ」
「……!」
手厳しい、いや、ともすれば突き放しているとも取れる評価は反面、トレーナーが『普段の神谷奈緒』を見ていてくれている証拠だ。自分でも調子が悪いことはわかっている。自身よりも他人に見てもらう方が動きには客観的な判断を下すことが出来るし、それがトレーナーともなれば尚更だ。しかし、そこまで分かっていても、依然として奈緒は食い下がる。
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