速水奏「裸で重なる一時」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/13(水) 21:35:50.60 ID:t50tah/9O
 長引いたレッスン。長引いた仕事。お互い予定が長引いて遅くなって、更にその後とりとめもない会話を重ねたおかげで深い夜へまで至って。だから一緒に帰ることになった私たち。どしゃ降りの雨の中、持ってきたはずの傘を忘れた私はプロデューサーさんの横へ寄り添うようにして歩いて。そうしてここ、このプロデューサーさんの家まで辿り着いた。

 本当はタクシーでも使えばよかったのだろうけど。……プロデューサーさんも、そうするようにしつこく言葉を重ねてきたのだけれど。……でも強情でずるい私は折れず、わざと雨の中へと躍り出て「ほら、担当アイドルに風邪を引かせるつもりなの」なんて言ったりして、そうして散々困らせた末ここまで来た。

 偶然、けれど必然。いつかこんな偶然が重なることがあったなら、そのときは絶対に自分の願いを叶えてみせる。そう思っていた私に訪れた偶然を、それまで思っていた通り私は叶えた。

 プロデューサーさんと二人きり。他のどんな誰の邪魔も入らない。二人だけの世界。


「それにしても」

「……?」

「言わないのね、プロデューサーさん。『胸を隠せ』とかそういうこと。……ふふ、そんなこと言えない。言いたくないくらいに見惚れてくれているのかしら」


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