【安価・コンマ】オリ主トレーナー「ブイズとイチャイチャする」【ポケモン】★2
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860:名無しNIPPER[saga]
2020/07/21(火) 23:48:17.26 ID:/7h2P1zL0
鏡を見ていた。いつもより気の抜けた顔だ。頬に赤みがさしている。

熱はないけど熱をあげてる、今日の私はあの子にお熱……そんなソングロイドの歌詞があった気がする。

「苦笑いだったけどさ、その笑顔、いいね」カナタさんはそう言っていた。鏡の前で笑顔を作ってみる。やっぱり苦笑いだ。満面の笑みができない。

でも、褒められたのだ。取り繕わずとも私は彼に褒められたのだ。そのことに私は胸が締め付けられそうな気分になる。

これが恋なのだろうか。もっと前から予感があった。けれどこんなにも胸が高鳴ったのは初めてだ。

もしかしたら私は、ゴミ漁りをしていたあの頃よりもマシな私になれてるんじゃなかろうか。恋をすることで変われてるんじゃなかろうか。

"欠陥ポケモン"誰かにそう言われた気がした。いや、この声は『誰か』じゃない。この声はいつも聞いている。

そう、私の声だ。鏡の向こうの私が舌を出した気がした。

確かに苦笑いしかできない。でも、この笑顔はカナタさんに褒められた笑顔だ。批判されても、彼の好きでいてくれる私のこの笑顔は自信を持ちたい。

「本当にそうなの?」思い切って問いかけた。

"そうだ、お前は醜いポケモンだ"声が返ってきた気がした。そんなはずはない。だからこれはきっと内なる声だ。

「そんなはずない。これは、立派に私だ」

"そう、立派にダメな欠陥だらけの私だ"

「欠陥でも、この笑顔は……カナタさんはいいって言ってくれた」

"それは嘘、認めるな。お前は何一つできないダメな生き物だ"

「そんな、こと……」私は否定できない。バトルで足を引っ張ったあの日、料理で足を引っ張ったあの日、仲間内を盛り上げて楽しい気分にできなかったあの日。

失敗が泥のように、私の足にへばりついていた。

"お前はダメなポケモンなんだよ。さあ、認めろ。認めろ。いつもみたいに嘆いて枕を濡らせ"

「私は、私のことを一番わかってくれるカナタさんを信じたい。カナタさんは嘘を言ってない」声を絞り出した。

内なる私に負けそうだ。でも、彼に好かれた今日の私なら、きっと無敵だ。逃げたい、けど私はもう逃げない!

"本当にカナタさんは私を一番わかってくれているのか?"

胸に言葉が詰まった。首を縦に一度振った。鏡を精一杯睨み返した。

"それなら試してみれば?"

視線が窓を向いた。外だ。

"本当に私のことが分かってるなら、普段から私がどうしたいかカナタさんもわかっているはず"

"簡単、簡単、とっても簡単。たった一つの賢い問い方。本当にカナタさんが私のことを分かってくれているなら"



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