2: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:03:19.25 ID:qeoTwk+V0
「喜んでくれるかなぁ」
佐久間まゆは今にもスキップしてしまいそうなくらい、はじけそうな気持ちを胸に押しとどめて、事務所への帰路を急いだ。
灰色の町並みは平日と思えないほどの人の数で、日も落ちようかという頃合いにもかかわらず、その喧騒を保っている。
まゆの進む先が、都内でも有数の通行量を誇る巨大ステーションだからであろう。
「ふんふ〜んふーん、ふふっ」
行き交う多くの人々が、仄暗い黒だか淀んだ深緑だかの疲労の色をその背に負ってうごめく中、つい鼻歌などさえずりながらフワッフワ歩いているものだから、パステルカラーで控えめにこさえたコーデでも目立って仕方ない。
ましてや目下売り出し中のアイドル、佐久間まゆなのだ。
鼻歌の後にちょっとした含み笑いをこぼせば、すれ違う人から視線が奪われ、押しとどめきれなかったスキップの軌跡に、肩をぶつけ合って立ち往生する会社員男性諸賢が続出するのも無理はない。
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