【トトリのアトリエ】ミミ「こんなことはこれっきりにしてよね」
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10:名無しNIPPER[saga]
2017/08/27(日) 13:21:16.14 ID:SC7wIBIj0
 早めの夕食を済ませて木陰に二人並んで座り込むと、風がさっと吹き入りトトリの匂いを私へと届けてくれた。花のような甘い香りだ。なんて落ち着く香りだろう。汗も混じっているが、それすらも清々しい。風に全身の疲れが溶けていく。

 日は丘を、私達を橙に照らす。私達は夕闇に染まる空をなんとなく眺めていた。なんでもない時間も、トトリと一緒ならばこんなにも心地よい。どちらともなく肩を寄せ合い、ゆっくりと地平線に沈む夕日を時間も忘れて眺めていた。

 どれだけの時間そうしていたのだろう。すっかり日は沈み月が出ても、私達の目は空に張り付けられている。

 トトリは立ち上がって木の陰から出て、草の上に仰向けで寝転ぶ。私も彼女の隣に座って空を眺める。何一つ遮るものの無い開けた星空は、私達を明るく照らす。星が降ってくるような美しい夜空。

「綺麗ね」
「うん、すごく綺麗」

 指が触れ合った。遠慮がちな私の手を、トトリは簡単に捕まえる。細くて華奢な、滑らかな手。

 トトリに目を向ける。彼女の鳶色の瞳は、きらきらと無数の星を映して宝石のように輝いていた。

 昨夜眠る前に何か考えていた気がするが、もはやそんなことはどうでも良かった。私達は同じ場所で同じ星空を見ている。それが全てだ。


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