【モバマス】カワイイボクらは斃れない【アニデレ】
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9: ◆ZDnQS3y4DE[sage]
2017/08/25(金) 01:13:20.05 ID:l79BlxhkO
「この楽曲を明日までに覚えてもらいたい。」
常務はレッスンルームで幸子達に仮歌の入ったMPプレーヤーと歌詞カード、簡単な手書きの振り付け表を手渡した。
もちろん常務もこれだけの資料で完璧な演技を期待してなどいない。ただ、仕上がりぐあいで幸子と小梅の実力を図るつもりだった。
スケジュールに余裕はない、短期間で演技を修得できる実力がなければすぐに他のアイドルを探さなければならないのだ。
だが、ふたりの言葉に、常務は耳を疑う。
「ボクはもう大丈夫ですよ。だいたいわかりました。」
仮歌を聞き、振り付け表を眺めてた幸子が唐突に口を開いた。
「私も……1回通したらできるかな。」
続けて口にした小梅の言葉を聞いて、常務は少し困惑した。
アーティストの中には振り付け師が踊るのを一度見ただけでダンスを完成させ、楽譜と歌詞を見ただけでほぼ完璧に用意された楽曲を歌い上げる者は少なくない。
厳しいスケジュールをこなす世界的なアーティストであれば必須の技能ともいえる。
しかし、10台前半の彼女たちにそんな芸当ができるというのか?
「フヒヒヒ……やっぱりすごいな、私はまだダンスには自信ない。」
「この曲は輝子さんの声量が要となりますからね。ダンスよりも歌に集中した方がいいかもしれません。」
「1回みんなでやってみよ?……とりあえずわかんないとこ探らなきゃ……。」
「そういうわけで、1度みて貰えませんか?常務の中には完成型がすでにあるんですよね?」
少しわざとらしい3人の会話を聞いて常務は気がついた。私が彼女たちがダメだった場合の段取りを考えているのに、彼女たち、いや、この輿水幸子はすでにこの仕事を手にした気でいる。
常務は先ほどのやりとりの時点であふれ出していた幸子の自信を面白いと思い始めていた。
「いいだろう。そこまで言うのなら、君たちの有能さを思う存分アピールするといい。」
常務がレッスンルームのオーディオにプレーヤーをつなぐと、すかさず幸子達が初期位置に移動する。
打ち合わせもなしに大したものだ、そう思いながら常務はプレーヤーに入っていたオケを再生した。
MIDI打ち込みの味気ないデジタル音がレッスンルームに響き出す。
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