未央「兄貴、何か隠してるでしょ」未央兄「なんのことだ?」
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4: ◆jduRT8bHyo
2017/08/22(火) 20:53:13.44 ID:Eo53XMUN0
 兄妹の情けで一応事情を聞いてやれば、レッスンに熱が入りすぎて気づけば夜、電車には間に合うけど疲れちゃったし今から千葉まで帰るの面倒だなー、
 と思ったところで都内で一人暮らし中の兄のことを思い出したという、その兄であるところの俺にとっては、ただひたすら迷惑なだけの理由であった。
 帰れ泊めて帰れ泊めて帰れ泊めてと不毛な争いがしばらく続いたが、しかし結局のところ、俺は押し負けることになった。
 決定打は、未央が実家に電話をかけやがったことだった。
 実家から十分通える大学だというのに、一人暮らしを許してもらった上に仕送りまでしてもらっている立場としては、
「未央のこと、よろしくね?」なんて言われたら断りようがない。

「うるさくするんじゃねぇぞ」
「わかってるってば」

 さっきまでぎゃーぎゃー騒いでいた奴が何を言っているのか。
 渋々チェーンを外してやると、奴はするりと猫みたいに部屋の中へと入り込んできた。

「あっ、こら」
「お邪魔しまーすっ。おお、これが兄貴の部屋か〜」

 ベッドにタンス代わりのカラーボックス、CDラックと本棚、ゴミ箱、あとはローテーブルの上にノートパソコンと灰皿。
 たいして広くもない部屋だから、置いてあるものといえばその程度だ。
 家を出る前の自分の部屋とも大差ないはずだが、未央はやたらと興味ありげに、きょろきょろと室内を見回している。
 思えば、未央がこの部屋に入るのは、引っ越しの時に親や弟と一緒に見に来て以来だったな。
 少なくとも月に1回は実家に帰っていたので、そこそこ顔を合わせてはいたのだが……なんだか、不思議な感じだ。
 いや、不思議な感じだ、とか言っていられる状況ではないのだが。

 ……大丈夫だよな?
 と、内心でほんのわずかに不安を感じていると、未央が微かに顔をしかめているのに気付いた。


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