【艦これ】羽黒「司令官さん、私、信じていますね」
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12: ◆m9ZGL07ULFKn[saga]
2017/08/21(月) 21:54:07.35 ID:YDsn8rSZ0
水浸しの実験室の中で、僕はその物体と向かい合っていた。
それは巨大で、全体は光沢のある黒に染められていた。
目の前は口だった。見慣れた、人間のような歯並びだったが、スケールの違いはそれをただ不審で恐怖を増す存在にしていた。目は青く光っていて、僕はただ戦慄を覚えていた。
このまま殺される、と僕は直感的に思った。
目の前の生物が、少しでも動けば、僕はつぶされるだろう。口が動けば、僕は咀嚼されるだろう。それは明らかなことだった。
でも僕には何というかそれに対する怒りも、憎しみも、何も抱くことはできなかった。
その目に、僕が全く映っていないように感じたからだ。目の前のその生物は、何というか僕よりも"ずっと高度な存在"に思えた。僕の存在など、それにとっては本当にちっぽけなものだろう。僕にはそれがすぐにわかった。
僕は畏敬を抱いていたのだ。
それから場に直立し、目を閉じた。腕が何かに触れる感覚があった。硬い物体だった。歯か、胴か、どちらかだった。
殺される、と僕は再び思った。そして目を閉じたまま、暫くそのままでいた。
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