卯月「拝啓、忌まわしき過去に告ぐ絶縁の詩」【偶像喰種・外伝完結編】
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◆AyvLkOoV8s
[saga]
2017/10/05(木) 19:55:18.31 ID:9ZY2Twcv0
杏(――内側から、肉にナイフを突き立てる音が聞こえる)
杏(――きらりは甲赫を出して、扉を塞いでいる)
杏(――杏は)
杏(――みくちゃんの手を振りほどいて、楽屋に戻ろうとする)
みく「! 何やってんの杏チャン!? 戻ったら杏チャンまで死ぬよ!?」
杏「はなせっ……はなしてくれ!」
杏「きらり! きらりぃ!! 何やってんだよ早く出てよ!!」
杏「なんできらりが残ってんだよ! 杏が代わるからっ……はやく出てきてよ!!」
きらり「……杏ちゃん」
杏(――ドアに張り巡らされた赫子の内側から、きらりのか細い声が聞こえてくる)
きらり「ごめんねえ、杏ちゃん。きらり、ぜんぜん動けなくて」
きらり「かな子ちゃんも、智絵里ちゃんも、きらりのせいで死んじゃった」
きらり「杏ちゃんの、大切な人なのに」
杏「はあっ!? ……きらりのせいじゃない!! 全部杏のせいだ!!」
杏「杏、黙ってたんだ! キャッスルの事も財産の事も、知ってて全部黙ってたんだよ!!」
杏「それで皆をわざと部屋の中から出さなくて……そいつのことも危険だって気付けなくて……だから今こうなったんだ!! きらりの何が悪いって言うんだよ!!」
杏「杏が代わるよ!! 杏はすごく悪い事してたんだからさあ!! 杏が死ぬべきなんだよ!! きらりは杏よりずっと生きて、やりたいことあるだろうがあ!!」
杏「はなせっ、みくちゃ……はなせ、よおおおおお!!!」
きらり「……」
きらり「……杏ちゃんが、なんのこと、言ってるか、わかんないけど」
きらり「きらり、わかるにぃ。杏ちゃんは、皆に心配かけたくなくて、秘密を守ってたんだよね?」
きらり「話しちゃったら、きっとみんな、傷ついちゃうから……」
きらり「とーっても優しい杏ちゃんだから、仕方なく隠してたって、きらりは分かるゆ」
杏「っあ……そんな、こと……」
きらり「それにね。きらり、おっきいから」
きらり「いっかい、みんなに喰種だってバレちゃったら……もう隠れられなくて、おしまいなの」
きらり「もう生きていけないんだあ」
杏「あっ……」
杏(――一瞬、力が抜けた)
杏(――その隙に、みくちゃんは杏を引っ張って)
杏(――杏はきらりが、きらりの姿が、きらりの声が、ずっと小さくなっていくのを見ていた)
杏(――やっと痛みが引いてきた耳には)
杏(――大きい体が倒れる音が聞こえて、それからは何も響かなくなった)
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