【デレマス時代劇】一ノ瀬志希「しあわせの白い粉」
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15:名無しNIPPER[sage]
2017/08/19(土) 08:14:04.36 ID:GVuX5Nn80
「楓の酒癖、そろそろ直した方がいいんじゃないの?」
「……過去が変えられるなら、そうしたいわ」
瑞樹の言葉に、早苗はしばし黙した。
「……最近、城下で変わったことは」
話題を変えるつもりで、早苗は問いかけた。
瑞樹は馬廻という華の職と、本人の人当たりの良さで慕うものが多く、
早苗よりも領民の内情については詳しい。
「阿芙蓉が出回って、藩の子どもたちに被害が出てる」
それは早苗も承知のことであるが、改めて瑞樹から伝えられると、
事態の重さがひしひしと伝わってくる。
それだけ窮状を訴える者が多いということだろう。
「他には」
怒りをぐっと堪えて、早苗は他の情報を促した。
「早苗、あんたもしかして…」
「そうよ」
瑞樹は早苗の表情から、幼馴染が何を追っているのかを悟った。
「役に立つかは分からないけれど、最近雪駄の質が下がっているとよく聞くわ。
革がぶかぶかで、草履の部分から剥がれかかってるんですって」
雪駄は、竹皮草履に動物皮革を張って作られる。
傷みにくく丈夫で、その名に反して通年での使用に耐える。
それに不備があったとなれば、領民達も愚痴をこぼしたくなるものだろう。
しかしこの時、早苗は阿芙蓉と雪駄の接点を見出すことはできなかった。
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