43:名無しNIPPER[sage]
2017/09/01(金) 04:02:54.96 ID:GbEOzz6g0
俺はあちこちがひび割れた道路の上を、進んでいく。
頭の中では、これからの予定がぎっしり詰まっている。
まずバス停に向かい、駅行きのバスに乗る。それから駅で切符を買い、乗り換えの時刻を確認する。それから―――
視界の端で、少女が強張った表情で口をもごもごと動かした。
俺「え、なんだって?」
俺は彼女に一歩ぶん歩み寄る。彼女はくいっと顎を上げて、今度ははっきりといった。
少女「あの、最初に私から、貴方様に伝えたいことがあります」
少女は軽く息を吐いて、冷静さを保ちながら告げる。
少女「基本的に、村長様は縁談の話を進める方向で動いています。ですから、そして私は村長様の御意思を尊重します。ですが、これは貴方様にとって、あま
り面白くないと思います、どうか恨まないでください」
俺「待ってくれ。なんで君は俺が縁談を面白くないと感じると思うんだ?」
少女は躊躇うそぶりをみせたが、圧されるようにして答えた
少女「それは、あの、先先日、幼馴染様と逢引されていたのを見てしまったので…」
俺は心臓を矢で打ち抜かれたように、絶句した。
アレを、誰かに見られていたのか。しかも、目撃者は村長様の奉公人。
視界を銀色の蚊が無数に飛び交い、意識を混濁させる。
少女「最初は、縁談から逃れるために幼馴染様が貴方様に頼んでいるとおもっていたのですが、途中で幼馴染様が抱き着いたのでようやく気づきました。
それで、すぐ離れたのです」
俺「は、はい」
少女「一度は忘れようとしました。ですが、その夜、幼馴染様と村長様に呼ばれて、貴方様と旅をするように言われました」
俺(なんという、あくむだ)
少女「このことはまだ、他の誰にも告げていませんし、つもりもありません」
少女「貴方様が協力してくだされば、墓までもってゆきます」
少女の頬は朱が差し、声はうわずっている。
「どういたしますか」
俺は、今すぐ決断を下す必要があった。
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