16:名無しNIPPER[saga]
2017/08/20(日) 18:06:44.41 ID:bKmP3xVyO
それから、空元気で会話を続けた俺と女さんはいかにも滑稽だった。
代金を支払うやいなや、外へ飛び出ると
統率のとれた蛙の輪唱が俺を出迎えた。
聞き慣れたそれを聞いて、罪悪感が安らぐのを感じる。
だけど、胸にのしかかった重圧はそのままだ。
今日一日で村の皆が、どういう風に自分を見ているのかが、はっきりした。
それに則って期待されているのも痛いほど分かった。
だから各々の思惑を同時に叶える方法があればいいのにと、切実に思う。
そして、できることなら俺の邪な願いも。
さて便利なことに思案中にも、人の身体は動いてくれる。
自宅前の通りに入っていた俺は、その自宅から幼馴染み様が出てくるのが見えた。
彼女は俺に気づくとその場で一礼して、そそくさとその場を立ち去った。
その間、俺は横の田んぼに飛び込まんばかりの羞恥で顔を真っ赤に染め上げていた。
この村で、都会風な自分の髪型は奇異であるのだ。
黙って立ち去った彼女はこの頭を、どのように思ったのだろう。
自然と子犬が鳴くような嗚咽が、出てきた。
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