8:名無しNIPPER[saga]
2017/08/14(月) 00:46:52.44 ID:7ZBN3l0J0
かつて私の居た教会には、懺悔室というものがありました。
そこで、秘密の告白がなされるのです。
誰に話すこともできない、けれどこれ以上仕舞いこんでおくことのできない、胸の奥で膨れ上がった秘密を。
教会の外に出た私は、一度だけ振り返りました。
よく晴れた午後でした。
罪の告白を終えた私は足取り重く、しかし、ついに想いを吐き出すことが出来たことに安堵していました。
答えは既に、私の心の裡に、あるのです。
それに、たとえ形式上とはいえ――私は、ゆるしを得た心地でいました。
神はあなたを赦す――、その言葉が、いつまでも耳に響いていました。
それにしても、今日、懺悔室の中にいらっしゃったのは――本来、推測するようなことがあってはいけませんが――どなただったのでしょう。
神父さまではなく、でも、入った瞬間に、その方の何かが分かって、何が分かったのかは、分からなかったのですが。
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