女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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70:名無しNIPPER[saga]
2017/08/23(水) 16:46:51.88 ID:gDsglEzi0
 「小僧、お前もだ。聞いてるのか?」

 咎めるような言い方。
 価値観の押しつけは独善的な偽善行為となり果てる。それを羅門は僕にしようとしている。年長者だとか、そういうこともあってこういうことを言っているのかもしれない。
 だが、

「そうですね」
「気に食わなそうだな」

 因縁をつけられている。そんな気がする。先程から卓也と比べて、僕に対してのあたりが強い。基地に羅門はあまりいないので、卓也が羅門と仲がいい、というわけでもない。
 少し、腹が立つ。

「努力をしないやつは救われる権利がない」と羅門は言った。

 だからどうした、と僕は思った。

「努力をするきっかけがないんですよ、この人たちは。努力したところで結果が保証されているわけでもないんだから、仕方ないでしょう」

 そんな言葉を返した。
 羅門は僕を睨み付ける。

「だが何もしなければ確実に腐っていくだけだが? 助けようとする奴がいても、徒労に終わるだけになる」

 助けようとする奴?

 ――違和感を感じる。

「それは羅門さんの価値観でしょう。ここの人たちは本当に救われる、という可能性を信じることができない。選択肢を持っていないんですよ。僕ら外部の人たちはそういう考え方ができるけど」

 卓也が注意を促すように僕に触れる。羅門は目に見えて怒っていた。僕はそれを見つめ返すだけだ。

 怖くないわけじゃない。羅門の容姿は、今まで出会ったどんな人よりも、恐ろしい。だがきっと、力で押し通すことはしないはずだ。それはボスが信頼しているから、とか義理堅いという評判を落とすようなことを簡単にはしないだろう、とか、そういった理由もある。だが以上に、彼からは信念めいたものを感じていたから。接点はほとんどなかったが、多少はある。小さな行動から、どういった人物なのかはうっすら見えてくる。
 羅門は何かを言いかけ、やめた。

「確かにそうだな。わかってるさ、その程度」

 そういって背を向ける。拍子抜けだった。突然怒りが収まったかのような、諦めたかのような。

 ……。



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