女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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176:名無しNIPPER[saga]
2017/09/15(金) 00:54:32.08 ID:jX7ap57O0

 ◇



「陛下」

 無表情な顔のメイドが王を呼んだ。

「装置は無事です。不可思議なことに稼働も十分です。ですが……前犠牲候補者、近藤雪様の行方はつかめません。犠牲者、佐藤祐樹の遺体も」
「……まあいい下がれ」

 一礼をして下がっていくメイド。それをどうでもよさそうに王は見送った。

「機嫌が悪そうだな傲慢主義者」

 それを見て、男が笑っている。

「処刑されたいのか?」
「やれるもんならやってみろ」
「よかったな、組織の後継役がまだ見つからなくて」
「そんな奴めったにいるわけないだろ? 俺だからやれるんだよ。他にできるやつがいても俺ほどうまくはできない」

 男は――抵抗組織のボスはからからと笑った。
 王はボスをにらめつける。

「うせろ」
「偉そうな態度をやめることだ。からかわれるだけだぞ?」
「おまえぐらいしかそんなやつはいない」

 不満気に言う王にボスはまた笑って見せた。
 それで、と彼は言う。

「なにがあった?」
「私は賢者のてのひらにずっといたということだ」
「逆らうなんて無駄に人間らしいことをするからだ」
「……お前はどう思っているんだ?」
「本質的には、賢者とか世界とか、どうだっていい」
「こんなにあっさり言うならもっと早く聞くべきだったな」

 からからとボスは笑う。だがその後居住まいを正した。ボスは射貫くような目つきで王に言う。


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