女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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158:名無しNIPPER[saga]
2017/09/12(火) 18:48:37.05 ID:bdvuTYni0

 彼女がいる建物についた。父に一度会おうと思ったが、やめておいた。すべてが終わったら、その時は一度家に帰ろう。僕が成功したか失敗したかどうかは、僕がみせしめの処刑にされるかされないかで判別できる。まずは、彼女を助けることを優先しなければ。
 建物の中にはいたるところにガラスが張られていた。きっと、僕が単体で彼女を救出しようとしていれば必ず捕らえられていただろう。
 今だからわかる。ガラスの反射を利用して、死角から覗くいくつかの監視カメラが見える。気付いた時には見つかってしまう。そういう仕掛け。
 僕はなにものにも認識されることがない。だから、今なら突破できる。彼女のいるところへたどり着ける。
 ゆっくりと歩いていく。途中、メイドや執事の恰好をした者などを見た。犠牲者はその死までは最大限の敬意を払われる。彼ら、彼女らは犠牲者へ奉仕をする者たちだろう。
 誰にも気づかれずに、歩き回る。建物の中は広かった。だが探していればいつかは彼女のもとに辿りつく。扉を開けたりしても誰かに不審がられることはない。誰もがいつも通りの行動をし、異常に気づけない。

 そしてその扉を見た瞬間、胸が高まった。確信した。ここにいる、と。
 打ち震えた。もう何年もあっていなかったような錯覚。ようやく、辿り着いた。
 僕は扉を開く。光が差す。穏やかな雰囲気と、しかし、刺すような悲痛。



 ◇


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