16: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:59:48.61 ID:F1z6JHSwo
読み聞かせ以外にも、彼女には色々な話をしました。
本に出てきた動物の話であるとか、他所で見聞きした事だとか。
17: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:00:17.19 ID:F1z6JHSwo
彼女に語りかけた物語は、すうっと私の中に溶け込んで行くようで。
声に出すことで、誰かに聞いてもらうことでもう一度頭の中に入り、定着していったのかも知れません。
18: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:01:37.16 ID:F1z6JHSwo
##
そうして、幸せな日がやってきました。
19: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:02:04.50 ID:F1z6JHSwo
そうやって、色々な事を、色々な言葉を、彼女を通して覚えました。
20: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:02:35.21 ID:F1z6JHSwo
ーーー
いつからでしょうか、彼女の事を『しおり』と呼ぶようになったのは。
21: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:03:05.50 ID:F1z6JHSwo
しおりはいつもいるわけではなくて、いつまでもいてくれるわけではなくて。
本を読み終える事に惜しさを覚えるようになったのはきっと、
22: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:07:12.81 ID:F1z6JHSwo
日記にこそ書き残してはいますが、しおりの事をあまり鮮明に覚えていないのは、
とらえどころのない子だったからなのでしょう。
平仮名三つのしおりの字は、まだ漢字のそう多くはない頃の日記の中に溶けて埋もれてしまっていて。
23: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:07:43.44 ID:F1z6JHSwo
……それに。
私は多分、しおりを”個”として受け止めていなかったのだと、そう思います。
24: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:08:31.22 ID:F1z6JHSwo
会うたびに彼女はどこか違っていて……、
はっきりとした”格”が無くて、いつの間にか隣にいる。
25: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:08:58.28 ID:F1z6JHSwo
ーーー
曾祖父の通夜の日に、「波の花」と言う言葉……いえ、言い回しというべきでしょうか、それを初めて知りました。
26: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:09:42.62 ID:F1z6JHSwo
忌み言葉、というのだそうです。
式の会場で見つけた活字の中で、一際私の目を引いたのがその言葉でした。
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