12: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:57:31.57 ID:F1z6JHSwo
次の日も海で遊び。
夜にはまた、本を読む夢を見て。
13: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:58:00.56 ID:F1z6JHSwo
お土産を抱える父と母。
宝物を手に入れた私。
14: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:58:28.83 ID:F1z6JHSwo
その夜も夢を見た、と日記に書いてあります。
楽しいものも怖いものも、夢の世界を忘れることが惜しくて、
15: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:59:03.33 ID:F1z6JHSwo
海から帰って来た後も、あの女の子は私の前に……いえ、隣に、でしょうか、時々現れるのでした。
彼女がどうして、いつ私の隣に現れるのかはわからずじまいで。
16: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 02:59:48.61 ID:F1z6JHSwo
読み聞かせ以外にも、彼女には色々な話をしました。
本に出てきた動物の話であるとか、他所で見聞きした事だとか。
17: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:00:17.19 ID:F1z6JHSwo
彼女に語りかけた物語は、すうっと私の中に溶け込んで行くようで。
声に出すことで、誰かに聞いてもらうことでもう一度頭の中に入り、定着していったのかも知れません。
18: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:01:37.16 ID:F1z6JHSwo
##
そうして、幸せな日がやってきました。
19: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:02:04.50 ID:F1z6JHSwo
そうやって、色々な事を、色々な言葉を、彼女を通して覚えました。
20: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:02:35.21 ID:F1z6JHSwo
ーーー
いつからでしょうか、彼女の事を『しおり』と呼ぶようになったのは。
21: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:03:05.50 ID:F1z6JHSwo
しおりはいつもいるわけではなくて、いつまでもいてくれるわけではなくて。
本を読み終える事に惜しさを覚えるようになったのはきっと、
22: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/08/10(木) 03:07:12.81 ID:F1z6JHSwo
日記にこそ書き残してはいますが、しおりの事をあまり鮮明に覚えていないのは、
とらえどころのない子だったからなのでしょう。
平仮名三つのしおりの字は、まだ漢字のそう多くはない頃の日記の中に溶けて埋もれてしまっていて。
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