37: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:22:54.80 ID:c5e7bYk30
*
ハナコと一緒に椅子に乗って、くるくる回りながら、少し考える。
楽しかった。その理由を。
なんでこんなに楽しかったんだろう、って。
歌は好きだった。
それは今日に始まったことじゃない。
じゃあ、なんでだろう。
「ねぇ、お父さん」
「ん?」
「私さ、なんで今日はあんなに楽しかったのか、よく分かんないんだよね」
「そういうの、理由とかあんまりないと思うけどな」
「……うーん」
「カラオケは何度も行ったことあるだろ?」
「うん」
「なら、いつもと違う何かがあったんじゃないか?」
「うーん……。歌、上手だね、って褒められた……くらい?」
「他に理由は思い付く?」
「特には……ないかな」
「なら、きっと、そういうことなんだと思うぞ」
……そういうこと。
つまり、私は、私の歌を聞いてもらって、褒めてもらって、拍手までもらっちゃって、それがこんなに嬉しかったってことなんだろうか。
膝の上のハナコは、「うーん」と唸っている私を不思議そうな目で見ていた。
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