渋谷凛「輝くということ」
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23: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:15:13.37 ID:c5e7bYk30



席に着いてからの時間は、ひどく長いように思えた。

実際には十数分であるはずの時の流れが一時間にも二時間にも思えた。

時折、誰かが咳き込んだり椅子を引いたりする音の他は何もない。

重苦しい空気が教室を支配していた。

その空気を破ったのは、すぱーんと開け放たれた引き戸の音だった。

開け放たれた教室前方の入り口から、一人の教師が入ってきて、教壇に登り、柔らかな笑みを浮かべて教室を見渡す。

「まだ緊張してるかな。そうでもないかな? どちらにせよ、まずは……入学おめでとう!」

そのあとで、教師はチョークを取り出して黒板に大きく自分の名前を書いて「よろしく!」と言った。

「じゃあ、式まで少し時間があるから。一言ずつ自己紹介でもしようか。簡単でいいから……番号順で!」

出席番号の若い順に自己紹介が始まった。

自己紹介とはいえ、まだそれほど踏み込んだことを話す子は少なく、名前のあとに一言添える程度だ。

淡々と自己紹介は進んでいき、私の番が来た。

「渋谷凛です。一年間、よろしくお願いします」

軽く頭を下げて、また席に座った。



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