85: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/17(木) 01:52:51.31 ID:NMLZvzgs0
疑問の声を挙げた兵士を改めて眺めてみると、かなり年若い。あまり白人の顔立ちや年齢の見分けに自信があるわけではないが、せいぜい20になるかならないかといったところではないだろうか。
幾ら“海軍”出身でもこの若さだと深海棲艦との戦闘経験が乏しいか、場合によってはコレが初陣の可能性もある。……そういった若者を入隊させる余裕がまだあることを喜ぶべきか、仮にも海軍にいながら深海棲艦への理解がその程度でしかない人間がいることを嘆くべきかは議論の余地がありそうだが。
( ФωФ)「名は?」
「……? ロナルド=ウィリアムズですが」
( ФωФ)「なるほど、ではウィリアムズ。結論から先に言うが、“あの程度”の爆撃で斃しきれるほど深海棲艦は甘い存在ではない。貴様は少々不勉強が過ぎる」
「し、しかし、現に空軍は圧倒を─────!?」
彼がそんな台詞を口に仕掛けた瞬間から、F-35の編隊が徐々に戦場から離脱を開始していた。彼は眼を丸くしているが、少し考えればそれは至極当然の行動だと解る。
( ФωФ)「某フライトシミュレーションじゃあるまいし、戦闘機には60何発もミサイルを積むことも燃料を無視して無限に飛び続けることもできん。奴等の物量の前に、“あの程度”の爆撃はただの足止めだ」
個体一つ辺りが第二次世界大戦基準とはいえ軍艦の耐久力を持ち、しかもそれが多くの場合複数体───最悪数百体単位で押し寄せてくるという悪夢。しかも高い戦闘力を誇るこの種族は、とにかく近代兵器との相性がとことん悪い。
イージス艦ではまともにロックオンができず、戦車や自走砲では単純な火力差、耐久力差が大きい。唯一高い火力と誘導兵器に頼らずとも攻撃を当てる力が両立している空に活路を見いだそうとも、底が全く見えない敵の物量の前ではどうしても焼け石に水となる。ましてやヒト型の存在や空母型が用いる艦載機との相性を考えると空の優位性も決して絶対的ではない。
ドイツ・ベルリンでの一件も、あれほど奇跡的な勝利を収めながら結果から見れば“甚大な損害の末に拾った局所的な勝利”に過ぎなかった。
要はベルリンで示されたのは人類の「可能性」ではなく、深海棲艦に相対する人類の「限界」だと言えよう。
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