199: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/03(日) 23:34:36.96 ID:BMyKX3m70
他人の容姿をとやかくいう趣味はないが、ファルロと名乗ったその男は言ってしまえば醜男にカテゴリーされる外観の持ち主だった。
背はそこそこに高いがOstrichや周りで転がっているこいつの部下のように筋肉質ではなく、寧ろ少しやせ気味。少し上を向いた鼻の筋や目元に西洋人特有の掘りの深さがなく、顔全体が少しのっぺりとしている。
鼻孔と眼は細く、口も気むずかしげに結ばれているため顔のパーツ全体が定規で引いた線のような印象を受ける。声を聞く限り年齢は若いのだが、荒れた肌や口元に刻まれた皺は寧ろ老人のそれだ。
一言に纏めるなら猿と蛇を足して二で割ったような顔立ちとでも言おうか、少なくとも夜の街で呼び込みをかける娼婦達が取り合うような男振りではないだろう。
一方で部下からの人望は厚いようで、例のチビを筆頭に意識がある全員が何とか倉庫の中心でホールドアップする自分たちの上官殿を助けられないかと今なお全神経を集中させて機を伺っている。
“ただしイケメンに限る”の法則はどうもこの男には当てはまらないらしい。危機的な状況下でなお指揮下の全員がコイツの身を第1に考える辺り、大した慕われようだと素直な感心が沸いた。
しかし、“提督”ねぇ。
(,,゚Д゚)「………やっぱりヴェールヌイか、お前」
最初に銃を突きつけられた時点でほぼ当たりはつけていたが、答え合わせの意味合いもかねて改めて問いかける。
「だったらなんだい?」
チビ────ロシア海軍艦娘・Верныйは、時雨に踏み付けられ動けない状態にもかかわらず気丈に俺の視線を正面から受け止め見返してきた。
「言っておくけど、私たちの司令官に手を出そうものなら絶対に許さない。例え轟沈することになってもお前達全員を道連れにする」
(,,゚Д゚)「……こりゃまた大層な忠臣ぶりだ。ハリウッド映画化も近いな」
少しだけ茶々をいれつつも、俺は時雨達全員に見えるようハンドサインを出した。銃口は向けられたままだが、Верныйを始め全員の拘束が解かれていく。
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