2:名無しNIPPER[saga]
2017/08/01(火) 23:36:45.80 ID:7KrS6tqDO
お母さんが、まだ学生服を着ていた時から、その本は家にあったらしい。
本なんてあまり読まないお母さんは、好きだった男の子が借りていたという理由で、その詩の本を借りた。
たった1ページだけ朗読し、満足し、そしてそのまま本を返し忘れて、私の代まで家に置いてある。
「この本、私の家にも、ありました」
「そうですか」
言って、懐かしむように彼女は手に取った。
彼女は、中学1年生くらいで――というのも、学校には通っていない――、どうも今日から一緒に暮すみたい。
お母さんが言うには、お父さん違いの姉妹だって。
どうして、学校に行ってないのか聞いてみたら、出生届を出してなかったから、って答えてくれた。
出さなかったら、就学通知も来ないらしい。
よく分からなかったので、私は、へー、とだけ返した。
「勉強は、でも、好きです」
と、彼女は賢そうな表情をした。
そうして、その日、私は、その昔、母が恋した男との子どもの、義姉になったのだった。
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