20:名無しNIPPER[saga]
2017/07/18(火) 16:32:01.20 ID:X0PF4PSw0
「……ちょっと意識が朦朧としていました」
間近まで迫っていたゾンビの頭に鉈をたたきつけます。
危ない危ない。
やっぱり疲れているのでしょう、こんな所で昔の夢を見てしまうなんて。
この事件が始まった頃、私は両親と共に家に立て篭もっていました。
けど、食べ物の備蓄は少なかったんです。
誰もこんな事件が起こるなんて予想していませんでしたから。
父は、食料を探しに外に出ました。
そして戻ってきた父は、既に人間ではありませんでした。
母は絶望し、半ば身を投げる形で父に食われ、私は部屋の奥に追い込まれました。
父は迫ってきました。
普段からホラー映画が好きだった父が、まるでロメロ映画に出てくるゾンビみたいに。
幼い私は、父が残していった鉈を引きずって逃げました。
部屋の中を逃げ回りました。
当時の私には、鉈を持ち上げるだけの力は無かったのです。
けど、父の残した物を捨てる気にはどうしてもなれなかった。
その後、起こったことは、良く覚えていません。
幾つかの憶測が混じっています。
父は私を捕え、覆いかぶさりました。
私は必死になって、鉈を持ち上げようとしました。
ゴロゴロ、カラガラと何かが私たちの上に落下し。
気がつくと。
鉈は、父の頭に食い込んでいました。
ザクリという音と、手に残る感触だけ、覚えています。
それでおしまい。
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