3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:08:16.33 ID:+jykf0ly0
確かに人は足りていなかった。昇進して管理者側に回っていたから、人材の補強も自分の仕事の一つ。
友人は信用できる奴だった。だから、ありがたい、とその履歴書を受け取った。
受け取って、目を通して……それから、少しだけ頭を抱えた。おい、友人よ。
履歴書に載っているのは、彼ではなく彼女だった。
それはいい。珍しいがないことじゃない。
彼女の年齢はまだ十五歳だった。
それもいい。若過ぎるが、若いのはありがたい。
彼女の学歴は、最終が中卒で終わっていた。
それもいい。珍しくもない。
彼女のアルバイト歴は、空欄だった。
それもいい。珍しくもない。
彼女の履歴書の写真は、金髪だった。
それもいい。珍しくもない。
ついでに、サイドには綺麗な刈り上げが作ってあった。
それもいい。珍しくもない。
彼女の履歴書の写真は、屈託無い笑顔でピースを掲げている自撮り写真だった。
それも、まあ、いい。珍しい、というか、さすがに見たこともないが、自分は特段気にしない。
それぞれを別個に持っているだけなら、別になんのためらいもなく雇っただろう。何分人手不足だから。
ただ、これら全てを兼ね備えている人物を雇うのはどうなんだ、と思うところがあった。何分人手不足なんだから、と言ってもだ。
大丈夫なのか、どういう繋がりなんだと尋ねると、
「知り合いの子でさ、仕事探してんだって。大丈夫かって何がよ。ああヘーキヘーキ、良い子だから」
少し迷ったのち、結局履歴書に書いてある電話番号に電話をかけた。信用できるはずの友人を信じた結果だった。信用できるはずなんだ。
電話口に出たのは、声にあどけなさの残る少女だった。
採用したい旨を告げると、意味のわかりづらい若者言葉が返ってきた。完全に理解するのは三十路の野郎には難かったが、おおむね喜んでいるんだろうことはわかった。
いつから来れるかを尋ねると、いつでも、ということだった。
明日の朝から来てくれと返し、電話を切った。
まったく、これがとんだバースデーギフトだった。
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