白菊ほたる「プロデューサーさんは呪われました」
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6: ◆eU2UNg43MI[saga]
2017/07/15(土) 16:38:48.89 ID:eRMrD4p40

「なあ、ほたるはどうしてアイドルになったんだ?」

ずっと疑問に思っていたことだ。この気の弱さのくせに、事務所が3回もつぶれるといったハードな体験をしながら、なぜアイドルをやろうと思い続けているのか。



「……私が小さいとき、デパートの屋上でアイドルのライブをやってたことがあるんです」

昔に思いをはせているのか、ほたるは遠い目をしている。

「お客さんもまばらで、私もそのときはアイドルに興味なかったんですけど……嫌なことが あって落ち込んでいたので、気分転換にでもなればと思って見ていくことにしたんです」

まだ駆け出しのころは、顔を憶えてもらうためにデパートの屋上を借りてミニライブをやることは珍しくない。
そのアイドルの子もおそらく新人だったのだろう。

「歌は正直上手ではありませんでした。ダンスもあまりキレはなかったと思います」

言葉と裏腹に、ほたるの瞳は今まで見たこともないくらい輝いていた。

「でも、彼女はすごく楽しそうに踊っていて。彼女を見てると、だんだん私まで幸せになってきて。ライブが終わったあと、お客さんからいっぱい拍手をもらって嬉しそうに笑っている顔がとても素敵で、私もこの人みたいなアイドルになりたいって思ったんです」

「なるほど」

予想してたよりもよくある話だった。
しかし、これだけ大変な思いをしているのに、今もアイドルになりたいと思えるものなのか。

一度もなにかに憧れたことのない俺には、ほたるの気持ちを理解することはできなかった。



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