【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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27: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/12(水) 18:19:54.38 ID:Z1FU2/eB0

 そんな紬がある日のことだ。
 大事な商売道具でもある店の着物に手をつけた。

 無論、着物は生き物では無いのだから、手に手を取って愛の逃避行……などと事は進まない。

 両親の仕事を見様見真似で再現し、
 生まれて初めて姿見の前で着付けた女性は何を隠そう自分自身。

「これがうち? ……キレイ!」

 着ると言うよりも羽織るに近く、完璧には程遠い仕上がりでも紬は大満足だった。

 彼女が思うにはこれはアレンジ。
 我流自己流アイドル流の、革新的な着こなし方。

 煌びやかな柄の着物を纏い、気分はまさに小野小町か。

「幼女が知ってるわきゃ無いだろう!」と野暮なツッコミはおよしなさい。

 誰がなんと言おうとも、この日その時鏡の前には、
 間違いなく絶世の着物美人がしゃなりと佇んでいたのだから。

 ――そう! お気づきの通りこれもまた、紬の両親談である。

 衣装も小物も組み合わせも、曲も振りも口上も、全てを自分でプロデュース。

 それは小さな和室の姿見の前、観客は障子の隙間から覗き見をする両親二人だけという、
 非常に特別で、贅沢で、そして記憶に残る初舞台だった。


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