8: ◆E1jyq2RFLo
2017/07/04(火) 02:40:10.15 ID:4c6PfZAY0
テープの再生ノイズが聞こえると、部屋の中はしんと静まる。
その沈黙の中、スローなピアノのメロディが始まり、広がり、新たな朝を祝福するかのようなストリングスが響く。
頭の中にイメージのピースが無限に湧き上がり、一つのビジョンに組みあがる。舞台演出、歌詞、デビューのタイミング。この曲しか、ありえない。
「素敵な曲ですね。昔のアイドルの曲ですか?」
「・・・歌織さんのデビュー曲です。」
「えぇっ!?」
「不服でしたか?」
「いえ、その、いきなりのことで驚いてしまって・・・」
彼女をお祝いする歩。戸惑いつつも綻んだ彼女の口元を見逃さなかった。
それから歌詞カードを彼女に渡し、しばらく見守ることにした。
音源を聴きこむ彼女の背中を見て、きっと最高のステージが待ってると確信できた。
なんといったって、ピンときたのだ。
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