ブルー「俺達は…」ルージュ「2人で1人、だよねっ!」【サガフロ IF】
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名無しNIPPER
[saga]
2017/07/03(月) 02:37:15.72 ID:8dpRDMsp0
その日は、一際暑い一日だった
東風が熱を帯びた身で忙しなく巡る人々の肌を焼く、日傘をさして歩く者も在らば麦わら帽子を被る者
露店で売られている飲料を透き通るグラスに一杯注ぎ氷をひとつまみ入れる
銅貨を数枚手渡し、これ見よがしに、それでいて贅沢に茹だる様な暑さに苛まされる者に見せつけて喉を潤す住人
猛暑日を肴に冷酒を嗜む、そんな夏の風物詩を満喫する通行人の顔が目に入る
その子供は修士のローブを身に纏い、木の根元に腰かけ書物を読んでいた
半刻ほどで時計の短針は正午を告げるだろう時間帯にポプラ並木の木陰で捗らない読書にため息を吐いた
どうしても学院に居たくなかった、だから外へ飛び出したが失敗だったか、っとうんざりしていた
「……よくもまぁ駆けずり回れるものだ」
齢7歳、時折手にした書物から視線を外し―――――彼は何も考えずに溌剌と動き回る同世代に聴こえぬ言葉を放つ
歳の割りに大人びて見える彼は、そんな口調とは裏腹に羨望の眼差しを向けていた
束ね上げた長く艶やかな金髪は肩から流れるようで、丈夫な寿樹を背もたれにしていた彼の白い肌は雪のように美しい
「…我ながら馬鹿な事をした、抜け出せば帰った後がどうなるかわかるだろうに」
眼を細めて考えたくも無い事柄から逃避を図るように紙の上の文章へ眼を向ける
この国一番の荘厳な創りの学院から、愛読書という名の教科書片手に窓から飛び出した
すこしだけ外の世界には興味があった、それが彼の知的好奇心を刺激する事もさることながら
気に入らない教師に教鞭を振るわれるのを嫌っていたという事も手助けしたのだ
何でも良い、何だって良いから適当な理由をこじ付けて逃げ出したかったのかもしれない
…我ながら馬鹿な事をした、と後々後悔すると分かっていてもせずにいられない若気のなんとやらだ
「……なんだ?」
彼はそれと目が逢った
思えばそれは見えざる手によって手繰り寄せられたとも言えなくもない邂逅だった
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