23: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:19:27.00 ID:fE64C4yw0
帽子に一粒、染みこんだ涙。それをぎゅうと握って誤魔化そうとするエミリーはひどく愛おしかった。
「大和撫子、なれませんでしたね」
なんでこの子はこんなにも。
「ずっと、目指してきたんですけど。やっぱり駄目でしたね」
真っ直ぐなんだろう。挫折した日もあったはずだ。くじけてもう立てないと思った日もあったはずだ。
それでも、前を向き続けていたのは。
「ずっと、ずっとなりたかったんです。私は……!」
あぁ、そうだ。
忘れかけていた。背が伸びて目鼻立ちがすっきりしてきて同年代のアイドルよりも大人っぽかったから忘れていた。
エミリーは、まだ十六歳なのだ。
アイドルだけど、その前に、夢に憧れ、夢を見る、少女だ。
36Res/25.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20