【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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80: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/28(金) 23:47:03.78 ID:23vyEUVD0
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 プロデューサールームに戻った俺は、デスクに置いてあるデジタルフォトフレームの電源を入れると、コーヒーを一口飲んで、パソコンの画面に向き合う。
 茜、比奈、春菜、裕美、ほたるの五人は、それぞれの新しい道を歩んでいる。

 比奈と春菜は、川島瑞樹らとの新しいユニットでの活動を始めた。
 瑞樹が多忙なため、なかなか全員が揃うことがないようだが、ユニットとしてはうまく回っているらしい。

 裕美とほたるも、新たなメンバーと次のステップへと進んだ。
 先日の仕事で同じ現場になったときには、驚くほど成長した姿を見せてもらった。
 出会った頃に感じた危うさは、二人からはもう感じられなかった。

 そして、茜は。

「おはようございますっ!」

 プロデューサールームの扉が開き、元気な声が飛び込んでくる。
 トレードマークの赤いポロシャツを着ている、見慣れた姿の茜だった。

「おはよう、相変わらず早いな」

 俺は茜に声をかける。
 茜は「はいっ」といつものように元気に言うと、応接用のチェアに座る。

「茜、連絡してあった今日のスケジュールだが、ひとつ変更がある」

「え? そうなんですか?」

 茜は意外そうにこちらを見る。

「ふふ」

 俺はめいっぱい期待させるように意味深に笑ってみせてから、パソコンを操作する。
 プリンターが動いて、A4サイズの紙を一枚吐きだした。
 俺はそれを取り、茜に向かって突き出してやる。

「おめでとう。この前受けてた、怪獣映画のヒロインのオーディション、通ったぞ」

 茜は俺の突き出した書類を見て。
 俺の目を見て。
 もう一度書類を見つめ、それから顔をぱっと輝かせた。

「ほんとうですか!」

「ああ。今朝にオーディション通過の連絡が来た。ってことで、この打ち合わせを入れた新しいスケジュールがこれだ」俺は茜に変更されたスケジュールのプリントアウトを渡した。「これから忙しくなるぞ。覚悟しておけよ」

「はいっ!」茜の瞳に、炎のような闘志が灯る。「ううー、燃えてきました! ちょっと、気合を入れるために走り込みを!」

「これから仕事だ、我慢しろ」

 言って、俺は笑う。

「次の夏のフェスにもソロの出番がある。かなりのハードなスケジュールだが、体調には十分気をつけろよ。俺もできるだけサポートする」

「頑張りますっ! やりますよっ!」茜は腰を落とし、両手を握り締めて、それから天を衝くように拳を突き上げる。「ボンバーーーーッ!」

 プロデューサールームに、窓が割れるんじゃないかと思うほどの元気な声が響いた。
 茜もまた、新しい道を全力で突き進んでいる。

 日野茜。
 荒木比奈。
 上条春菜。
 関裕美。
 白菊ほたる。

 彼女たちの活躍は、これからも続いていく。
 一つの物語が終わっても、また次の物語へ。
 アイドルたちは、これからも力強く、輝いていく。



「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
 〜喪失Pと五人のアイドル〜
 ・・・END


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