35:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:42:17.91 ID:OXNr9JoL0
「付き合ってくれてありがとう、志保ちゃん」
「別にこのくらい、何でもないけど」
「えへへ、それじゃ、そろそろお店に行こっか?」
「そうね」
よいしょっと立ち上がって、うーん、と一度伸びをします。
「……私も」
まだ椅子に座ったままの志保ちゃんが、小さく呟きました。
「?」
「……私も、可奈の歌は、結構嫌いじゃないわ」
「えっ?」
「さ、早く行きましょう」
立ち上がり、すたすたすたと歩き出す志保ちゃん。
「ちょ、ちょっと! 今、私の歌っ」
「お店は待ってくれないわよ」
「待ってくれるよー! それより、志保ちゃん、今、今っ!」
私の歌、大好きって!
聞き間違いじゃないよね? だよね?
「ほらほら、ぐずぐずしてると置いていくわよ? 未来の歌姫さん?」
「待って、志保ちゃん、ねぇ、待ってよー」
楽しそうに笑う志保ちゃんの姿が何だか嬉しくて。
それに、もう一度私の歌のことを聞きたくて。
前を行っちゃった志保ちゃんを捕まえようって、私は走り出すのでした。
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