32:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:33:56.50 ID:OXNr9JoL0
そして、もう一つ。
時間を見つけて、この公園で歌の練習をするようになったこと。
室内で歌うのとはまたちょっと違った感覚で楽しいし、何より、千早さんが歌っていた場所だから。
私も千早さんみたいに歌いたい。
歌姫になるんだ。
この場所に立つ度に、そうやってやる気を貰うのでした。
「やーい、へったくそ〜」
あ、言ったなー。
時には、イタズラな子が来ることもあります。
少し前までの私なら、その言葉に傷ついて、また歌うことを止めてしまったのでしょう。
でも、
下手だから〜、練習してるんだも〜ん♪
周囲を見渡せば、にこにことこちらを眺めているおじいちゃんおばあちゃんがいて、スーツの男の人は今日も右足でリズムを取っています。
私の歌を少しでも楽しんでくれている人がいる。
こんなに嬉しいことはありません。
こんなに楽しいことはありません。
「そんなに下手ならやめちゃえー」
やめないよ〜、歌が好きだから〜♪
大丈夫。
何があっても、もう、私は揺るぎません。
だって、千早さんに、歌姫に言われたんだもん。
私の歌が好きだって。
歌を好きでいて欲しいって。
だから可奈は〜、今日も歌う〜♪
そしていつか、
あの人のような歌姫になるんです。
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