50:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 19:18:46.98 ID:YjAvTWa80
彼女は泣いていた。
夜、私の布団に入り込んでくる時みたいに。
泣いていた。
だから私は気付いた。
きっと、彼女は。
私を守れなくなることに不安で。
泣いていたんだと。
それに気づいた時、私の身体は自然に動いた。
蹲る彼女を、ぎゅっと抱きしめて。
「……ありがとう」
「ありがとう、ありがとう」
「守ってくれて、ありがとう」
「助けてくれて、ありがとう」
「うれしかった」
「そんなことは初めてだったから」
「凄くうれしかった」
「そんな事を受け入れるのが怖くなってしまうほど」
「凄くうれしかった」
私も、泣いていた。
彼女を抱きしめて、私も泣いていた。
初めてだった。
誰かを抱きしめて。
誰かに抱きしめられて。
泣くなんて事は。
私が記憶している限り、誰かと一緒に泣いたのは、それが最初で最後。
だって、彼女は私を助けるときに噛まれていたから。
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