152: ◆saguDXyqCw
2017/06/19(月) 01:07:27.55 ID:0mGdZrJv0
ハンガーラックから自分の衣装を取り出して、抱きかかえるように両手で広げた。
思えば、サンセットノスタルジーで集まれたけど、この衣装は着ずじまいだった。
まあいいか。またの機会に着ればいい。
「未央ちゃん?」
並んだ服の向こうから、あーちゃんが声をかけてきた。
「どうかしたの」
「うんうん、なんでもない」
私は衣装を元の位置に戻してあーちゃんの元へ行こうとした。
でも、と振り返る。
やはり、少し入れ方が雑だった。これではしわになるかもしれない。
しっかり整えて、ハンガーラックにかけ直す。
「おしっ」
綺麗に戻すことができた。
改めて、三つ並んだ衣装に目を向ける。
次に会えるのはいつだろうか。
いつかはわからないけど、またきっと出会えるはずだ。
そう信じている。
信じる為に、手を伸ばし続けようと思う。
ちょっと不器用で。
キレイでも、カッコよくもなくても、必死にもがいて。
それが、私達らしい。
私は少し微笑んで。
軽い足取りで踵を返した。
――本田未央「Re:サンセットノスタルジー」《終》――
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