18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/06/16(金) 18:51:14.73 ID:owrHDoo50
「なんでっ…まだ…!」
まだ立てる?
素人目に見ても、もう限界を超えていることは分かるはずだ。
逆転は望み薄、戦闘不能からの敗北が濃厚で。
きっとこのまま、何も出来ずに下着泥棒というレッテルを貼り付けられたまま。
事実はそれだ。
私なんかよりもプロデューサーは実感しているはず。
でも、言っている、プロデューサーさんの何かを欲するような、何かを渇望するような目が。
疑いようもなく叫んでいる。
風評なんか知るか。
事実に打ちのめされることと、諦めるのは違うことだと。
そう、有香には見えた。
実際は「痛くて気持ちいい」と言っているが、有香はそこまで至ることが出来なかった
そもそも有香はいまだに性知識に疎く、このレベルの性癖を理解することなど出来ないだろう。
骨折しながらもいまだに物足りないプロデューサーのまっすぐな目が、有香の視線を捉えた。
「もっと寄越せ」と、その目は訴える。
有香は自らを恥じた。
ここまで何かのためにまっすぐな目を向けることが出来る人間が、色欲魔なわけないと思い始めたのだ。
わかっていたはずだ、どうして疑った。
プロデューサーさんが、下着を盗むわけない。
だってプロデューサーさんは、優しくて、面白くて、真面目で、私をここまで導いてくれた人だから。
だから、プロデューサーさんは色欲魔なんかじゃない。―――有香は自分の持っていたプロデューサーへの疑いを払拭する。
しかし悲しいかな、現実は非情に。
今目の前にいる男の渇望の目は、「もっと責めてくれよォ!」と叫んでいる色欲魔の絶叫そのものといっても差し支えないものなのである。
有香がそこまで知ることは出来なかった。
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