高垣楓「マイスタイル」
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13: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2017/06/14(水) 23:43:01.10 ID:XeQ2hXzAo

 スカウトされたころの私を、思い浮かべる。

「最初はあまりに別世界で、不安ばかりで。自分を出すことなんて無理だって、ずっと思ってました」
「でも今は、こうしてアイドルをやっている自分以外の自分が、本当に想像できなくて」

 プロデューサーは、自分語りを静かに聞いてくれる。

「本当に感謝しています。私らしい私に、していただいて」

 二十六歳の私は、感謝の言葉を捧げた。
 シンデレラガールという大冠を戴き、仕事もますます順調で勢いも高く。
 もちろんプレッシャーも大きいけれど。
 それでも本当に、楽しいと思える日々。

「アイドル以外の可能性だってあったはずなのに、それがまったく想像できないなんて。本当に」

 私は焼酎をあおった。




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