4: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:07:38.03 ID:OIoYntls0
「……ふぅ。久しぶりにカクテルを飲みましたけど、美味しいですね」
「楓さん、打ち上げとかでも日本酒ばかりですもんね」
「ええ、大好きですから。でも、カクテルだって好きなんですよ」
5: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:08:15.02 ID:OIoYntls0
「でも、一つだけ残念なことがあるんです」
「え、なんですか」
「素敵なバーですけれど……ステーキがあれば、もっとすてーき、なんて」
6: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:08:53.29 ID:OIoYntls0
なんて、しみじみとそんな事を思っていると。
「ところで。おつまみにサイコロステーキありますけど、頼みます?」
「ちょっと気になりますけど……流石に遠慮しておきます」
7: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:09:33.99 ID:OIoYntls0
「楓さん、何か頼みます?」
料理を食べながらグラスを空けてしまうと、プロデューサーが何気なくそう言う。
なんとも絶妙なタイミングに、思わず感心してしまう。
こういう間の取り方は、人と相対する場面の多い職業ならでは、なのかしら。
8: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:10:43.81 ID:OIoYntls0
特に意識はしたことはなかったけれど、確かにすっきりしたお酒は大好きかも。
勿論、そういう好みもある。けれど、今、というよりも、今の季節は。
「今は梅雨の季節ですし。お酒もすっきりしたもののほうが、なんだか美味しい気がしちゃって」
9: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:11:19.33 ID:OIoYntls0
「どうでしたか、移籍して約1年。芸能界とはいえ、モデルさんの仕事とは、違う所も多いと思いますけど」
「そうですね。今まで生きてきて、歌って踊ってなんて、やったこともありませんでしたから」
「その割には、歌が随分、というかとんでもないレベルで上手いですよね……?」
10: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:11:58.46 ID:OIoYntls0
モデルの時も、充実感はあった。大変なことは多かったけれど、楽しくなかったとは言わない。
今だって大変なことは勿論あるけれど、それも含めて楽しいと思っている。
……正直、高校生の子達と体力の差を感じることはあるけれど。
私も高校の時、あんなだったのかしら。なんて、それはともかく。
11: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:12:31.70 ID:OIoYntls0
と、そんな事を話しているうちに。
「あら。プロデューサーもお酒、無くなってますよ」
「ん、そうですね。それじゃ……っと」
12: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:12:57.28 ID:OIoYntls0
それなりにカクテルは飲むけれど、そこまで詳しいというわけではない。
だから思わず首を傾げたのだけれど、プロデューサーはそれを促していると受け取ってしまったみたい。
居心地悪そうにしながら、そのカクテルの名前を告げる。
「その、ビトゥイン・ザ・シーツって、言うんですけれどね」
13: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:13:37.89 ID:OIoYntls0
確かに、嫌がるとまでは行かなくても、少し身構えてしまう人はいるかもしれない。
でも、プロデューサーはそういう人じゃないと知っている。
それに。
「ふふ、お気になさらず。私の誕生日だって連れてきてくれたんですから、プロデューサーにも楽しく飲んで欲しいです」
39Res/20.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20