38: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:03:51.84 ID:GTk52CSjo
彼女は彼のすぐ脇に、ゆっくりと腰かけた。
「ねぇ。プロデューサーは、アイドルをやってる私を頼りないと思ってる?」
39: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:05:05.83 ID:GTk52CSjo
それからしばらくの間お互いに会話は交わさなかった。
風が木々の枝を揺らす音。微かに聞こえる波の音。
お互いがすぐ隣にいることを感じながら、ゆるやかに流れる時間を感じていた。
40: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:06:09.75 ID:GTk52CSjo
====5. 輝きに導かれて====
時間でいえば1分も経ってなかったかもしれない。
ある時、ちょっとした拍子で手が触れ合い、妙に恥ずかしくなった2人はゆっくりと立ち上がった。
41: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:06:45.79 ID:GTk52CSjo
「今まで、本当にいろんなことがあったわね。」
そう言って彼女は屋上の柵にもたれかかった。
瞬く星の一つ一つを数えるように、彼女は振り返る。
42: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:08:41.76 ID:GTk52CSjo
「あの場所で見た景色、プロデューサーが見せてくれたあの景色は、今でもずっと目に焼き付いてるわ。」
「初めての単独ライブも、みんなで出演した武道館も。アイドルになってプロデューサーやみんなと作ってきたこの時間全部が、ずっと私の宝物なの。」
43: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:09:43.86 ID:GTk52CSjo
「わたしをステージに立たせてくれてありがとう、プロデューサー。」
「わたしをアイドルにしてくれて、本当にありがとう。」
44: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:10:28.19 ID:GTk52CSjo
「な、泣いてなんかないですって・・・。」
「ほらほら。お姉さんの方、まっすぐ見てごらんなさい?」
45: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:11:01.07 ID:GTk52CSjo
彼は親指で目元をぬぐって、一呼吸してから、彼女に向かい合った。
「俺だって、アイドルのみんなと、このみさんと出会えて本当によかった。このみさんがいたから今の自分があるんです。」
46: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:12:30.92 ID:GTk52CSjo
彼女の目をまっすぐ見据えて。
この想いを今の自分で伝えるために。
「このみさんを、もっとずっと輝かせられるように頑張ります!だから・・・」
47: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 23:13:30.60 ID:GTk52CSjo
====6. Brand New Melody.====
ある人魚は、あの日見たきらめきを求めて。
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