22: ◆2mwK9kDO1Y[saga]
2017/06/12(月) 00:25:46.88 ID:G8eGESGkO
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」
玄関の扉を開くと、いつも通りの彼女がそこにいました
彼女がそこに存在しているのかどうか、手っ取り早く確認する方法を、一つ思いつきました
「……え、マコトさん?」
僕は、妻の身体を抱きしめました
細い腰へ手を回し、強く、強く抱きしめました
やがて、彼女は僕の突然の抱擁を受け入れたらしく、僕の背中に両腕を回しました
彼女は、確かにここに存在しているのです
「……カスミ」
「うん、なに?」
「二人で、旅行に行こうか」
「どうしたの、突然」
「今週末、予約を取ろうと思う。今なら旅行シーズンから大分ズレているし、二人分ならきっと空いているよ」
「私は、別にいいけど……」
すると妻は抱擁を解き、僕の顔をまっすぐに見つめました
「……あなたは、それでいいの?」
僕はこの時、その意味がさっぱりわかりませんでした
「いいに決まってるじゃないか」
「……わかった。なら、マコトさんの分も準備しておくね」
「ああ、ありがとう」
その後すぐに、僕はスマートフォンで温泉旅館の予約を取りました
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