67:名無しNIPPER[saga]
2017/06/13(火) 22:46:32.31 ID:rNU/4+jtO
高校、中学、小学校。
記憶をたどるけど覚えがない。
何も言えずにいると、
「昨日お葬式があった人の元妻って説明なら分かる?」
ややあって、私は無言で頷いた。
「渡辺君とは同級生なの。来るつもりはなかったんだけど、息子がどうしても会いたいって言うから」
と、なぜか梨子ちゃんに視線を向ける。
当の梨子ちゃんは、人見知りが発動したのか、少し顔が強張っているように見えた。
「会いたいって……?」
男の子の方を見やる。
「あ、桜内さんのファンなんです」
先ほどの虚ろな感じが消えていた。
どこにでもいる普通の男子高校生。
「本当は渡辺君に頼む予定だったんだけど、ここで会えるとはね」
男の子は、ぐいっと前に出てきて、梨子ちゃんの手を掴んだ。
「めっちゃ好きで、何ていうか、会えてすっごく嬉しいというか……」
「え、え、あ、の」
梨子ちゃんの動揺が目に見えて分かった。
ちょっと気やすく握りすぎじゃないかな?
「見ず知らずの僕にこんなこと言われても困ると思うんですけど、すごくへこんでた時とか、梨子ちゃんが踊ってるとことか見て、元気もらってました」
待って。
いきなり、梨子ちゃん呼びに変わったよ?
ていうか、梨子ちゃん、ちょっと嬉しそうじゃない?
165Res/122.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20