31:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 15:42:20.08 ID:3EGa2FplO
「……うん、付き合って、浮かない顔をする梨子ちゃんを見てたらなんとなく分かってたよ。最初は、やっぱり、女の子だからダメなのかなって思った……でも、梨子ちゃんはそうじゃないって言うし……それで、曜ちゃんのこと妙に気にするし……ただ、はっきり分かったのはあの時だったけど……私、最低だ……これなら、普通で良かった。最初っから、欲張らずに、普通で良かったんだ……」
さらに、強く胸の辺りを握りしめた。
「あー……曜ちゃんめ、ずるいぞー!!!! こんちくしょー!!!!」
満天に愚痴をとどろかす。
「梨子ちゃんに選ばれて、うらやましーよー!!!!」
「や、やだ……千歌ちゃん」
「でも、でも、でも、でも! それでも……」
と、深呼吸。
「あのね、やっぱり、梨子ちゃんが好き、好きだよ! 私、まだ好きでいていいかなぁ?」
これは、二度目の告白。
救われたいがための、我がままだ。
私の耳から入り込んだ無数の感情が、体中を揺さぶっていた。
どうして、この子の言葉は、いつもこんなに一生懸命なんだろう。
一言一言が、まるで生きているみたいで。
おかしい話だけど、やっぱり、私は、千歌ちゃんに引き寄せられてしまうのだ。
言葉一つ間違えれば、すぐにでも崩れてしまいそうなのに。
でも、離れたくない。それだけは確かだった。
そうして、私も千歌ちゃんも、どちらとも言ってくれない、誰かに、苦しくなっている。
「それは……千歌ちゃんの自由よ」
私は言った。
「梨子ちゃん、ありがとう」
漸く、千歌ちゃんは私の手を掴んでくれた。
こんなに、長く海水に浸かって。
また、風邪を引いてしまうんじゃないの。
ふやけた彼女を抱き寄せる。
これが千歌ちゃんじゃなければ、私は、当の昔に逃げ去っていた。
千歌ちゃんの輝き。それは、勇気。
小さな体から放たれる勇気が、私を奮い立たせるの。
行動を起こさせるの。
だから、私は二人の少女を離したくない。
誰かに罵られようとも。
私が、離したくないの。
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