72: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/28(水) 21:55:32.72 ID:MnDf8Ffv0
外は暦通りの雨模様だけど、アタシの心はそんなのお構いなし、あの二人のお陰で見事に晴れ渡ってる。
「んーと、ここは母指球を使って…ぐりぐりー、っと…」
アタシは床に置いた本を足の指で器用にめくりながら、両手で足の間にある枕をこね回していた。傍から見たら間違いなく変な人だけど、ここは家だから問題なし。
その本は琴葉達がアタシを助けに来くれた次の日、アタシが真っ先に本屋さんに買いに行ったマッサージの本。あの日からずっと練習してやり方を覚えて、今はその最終確認。これなら仕事で疲れたPを癒してあげられるしね。
さっき雨が降り出す前に美容室に行ってきたから、イメチェンもバッチリ。髪型はエアリーなゆるふわパーマ。毛先を整えるくらいだったから、長さはあんまり変わってない。
Pはいつもアタシの長い髪を好きって言ってくれるから、あんまり短くし過ぎたらPが気に入らないかも知れないし。そうなったら、また伸ばすのに時間掛かっちゃうもんね。
服も髪に合わせて、白ブラウスに薄水色の花柄スカートのフェミニンなお嬢様コーデ。ネイルは主張しすぎない薄めのピンクにした。
気合いの入ったこの髪も格好も、ただPに見て貰って、褒めて欲しいから。近くの駅まで迎えに行ってPと一緒に帰ってくるだけだけど、全然やりすぎとは思わなかった。
ま、今のアタシはそんなお上品な格好ででーんと足開いて、枕こね回してるんだけど。…今の状況、絶対Pに見せらんないな〜。
…それに、あの事も伝えなくちゃ。
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