21: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/08(木) 00:47:58.19 ID:79yQv8dM0
「…うーん」
手首を使いフライパンをしゃかしゃか動かすが、何かおかしい。全然気分が乗らない。料理ってこんなに楽しくなかったっけ?確かアタシ、料理するのが楽しくて仕方なかった筈だけど…
「…あ」
アタシがその理由に気付くのは、そんなに難しい事じゃなかった。
「…Pが食べてくれないから、だよね」
普段なら、たまにPにじゃれつかれ、アタシが鬱陶しそうに(本当は嬉しいけど)しながら料理を作る。
普段なら、Pと一緒にテーブルに着いて、他愛のないお喋りをする。
普段なら、アタシの料理を食べたPが「これめっちゃ美味しい!また今度作ってくれよ!」なんて事を笑顔で言ってくれて、アタシが照れながら「んもぉ、仕方ないなぁ」と言葉を返す。
普段なら、Pがぺろりと完食してくれて、アタシは鼻歌を歌いながら満足気にお皿を洗う。
けど今は普段じゃないから、そんな嬉しい事は何一つない。自分で作って、一人で食べて、一人でお皿を洗う。
たったそれだけ。
「っう、うっく…」
さっき満タンになったばっかりなのに、もうエネルギー切れ。Pと電話して補充したエネルギーが目から漏れ出たのか、視界が滲む。けど、一度零れてしまったらもう止まらない。がまんがまん…
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