【ミリマス】「なぁ、聞いてほしいことがあるんだ」
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9:名無しNIPPER[saga]
2017/06/08(木) 20:59:50.84 ID:an3llUSQO
「…懐かしいですね」
『平静を装う』という言葉の見本になりそうなくらいに平静を装いながら、窓の外に目をやった。
そこに見えるのは、古い演歌の歌詞を借りるならば
10:名無しNIPPER[saga]
2017/06/08(木) 21:11:51.48 ID:an3llUSQO
「ご家族で農家をやっていてね。いやぁ、広い畑だったよ。見渡す限り、というのかねぇ」
家族、という熟語にまた胸が痛む。
我ながら気持ち悪いと思うけれど、どうしようもない。
やっぱり、変われないままだ。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/06/09(金) 12:33:41.06 ID:Oc1954oi0
おっさんpとひなたか
期待
12:名無しNIPPER[saga]
2017/06/10(土) 19:02:07.58 ID:D7D97yFUO
馴れ初め、という言葉が適当なのかは分からないけれど、俺と旧姓田村奈央子が出会ったのは20数年前になる。
つまり、俺が765プロに入社した時期だ。
それも当然だろう。
プロデューサーとして初めて担当したアイドルが、彼女だったんだから。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/06/10(土) 21:31:41.26 ID:D7D97yFUO
「私、まだ東京怖くて」
当時16歳で北海道から出てきたばかりの彼女は、並んで街を歩くたびにそう言っていた。
「はぐれないように、シャツの裾掴んでもいいですか?」
14:名無しNIPPER[saga]
2017/06/10(土) 21:50:23.54 ID:D7D97yFUO
先に言ってしまうと、彼女はさほど売れなかった。
関東ローカルの30分番組に、ひと月かふた月一度リポーターとして出演する。
それが彼女にとって唯一の、仕事らしい仕事だった。
「卒業したら、北海道に帰ります」
15:名無しNIPPER[saga]
2017/06/10(土) 23:46:54.54 ID:D7D97yFUO
情けない男の情けない話は、これぐらいにしよう。
彼女は北海道に帰ることになった。
責任を放棄した俺に言えることは、何もなかった。
「したっけね、プロデューサー」
16:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 00:23:26.32 ID:NES6yUWUo
読んでる
続き楽しみだヨー
17:名無しNIPPER[saga]
2017/06/18(日) 22:17:06.05 ID:qishUH14O
「どうだね、担当してみるかい?」
社長の言葉で我に返った。
ー是非とも君に!
18:名無しNIPPER[saga]
2017/06/18(日) 22:35:23.21 ID:qishUH14O
そこまで悟りながらなお返答できずにいると、社長から160キロのど真ん中ストレートが投げつけられた。
「これは、田村くんの望みでもあるんだよ」
と。
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