【ミリマス】「なぁ、聞いてほしいことがあるんだ」
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37:名無しNIPPER[saga]
2017/07/23(日) 22:54:03.01 ID:zjAmC0QgO
「無理に着いてこなくていいさ」
『あれから』の日々の中で俺が学んだこと。
決して焦らないこと。
急かさないこと。
風除けになってやること。
そして、思い切り誉めてやること。
なんだその程度のことか、と思われるかもしれない。
けれどそこは世の常で、言うは易し、だ。
『その程度』だからこそ難しく、そして大切なのだ。
奈央子は窓の外を眺めながら、俺の言葉に耳を傾けている。
「あたし、きっと遅れちゃうよ?うーんと離れちゃう」
「大丈夫。俺は後ろにも眼があるから」
奈央子の肩が小さく震えた。
噴き出すのをこらえているのだろう。
それには構わずに続けた。
「だから、君が遅れてたとしてもちゃんと見てる。自分のペースで着いてくればいいさ」
言い終えると、カーエアコンの低い音が車内を満たした。
木下ひなたが自分自身の言葉を選び終えるまで、待っていようと思った。
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