5: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:50:34.92 ID:vaSvTruRo
こくり、こくりと口に含み、その度に彼女は頬を緩ませる。
「しかし、度数が高いのでお気をつけて。このカクテルは別名"女性殺し"とも呼ばれていますから」
6: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:51:29.05 ID:vaSvTruRo
酒が回ると彼女も徐々に饒舌になってきた。
「でね、その女優さんが言うんですよ『お子様ねぇ』って」
7: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:52:32.47 ID:vaSvTruRo
「しかし、うちに来る必要もなかったかもしれませんね」
「え?」
8: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:53:03.60 ID:vaSvTruRo
「マスター、もう一杯頼んでもいいですか?もう一杯、大人っぽいカクテルを」
「かしこまりました」
9: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:54:06.50 ID:vaSvTruRo
ロックグラスに大きめの氷を一つ。溶けにくいので長く楽しめる。
そこにウィスキーを流し入れる。氷の表面がつやつやと褐色に光る。
10: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:54:52.44 ID:vaSvTruRo
「ありがとうございます、ウィスキーですか?」
「ええ、ウィスキーにアマレットで風味付けしたものです」
11: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:56:02.50 ID:vaSvTruRo
「うはぁ…おいしい…なんかすごく濃厚で、複雑な味がする」
「ウィスキーは熟成されるときに複雑な香りを持つんです。
そこにアマレットが更に深みを与える。
12: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:56:40.41 ID:vaSvTruRo
カラカラとグラスを揺らしながら、彼女は話す。
「大人っぽさって何なんですかねぇ」
13: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:57:15.70 ID:vaSvTruRo
最後に残った褐色の蜜を彼女はぐいっと飲み干した。
「ごちそうさまでした」
14: ◆b2/ys3/tgw[saga]
2017/06/03(土) 17:59:06.21 ID:vaSvTruRo
彼女は会計を済ませて帽子を深くかぶり、帰っていった。
去り際の笑顔は、まだあどけなさの残る少女のようだった。
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