20:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:25:18.57 ID:pVIxyO240
周子は棚の前で頭を悩ませた。
茶会にどの菓子がふさわしかろうか。
また羊羹など持っていて、
21:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:26:17.50 ID:pVIxyO240
ふと、大皿いっぱいに盛られた
おのろけ豆が目に入った。
豆に、あまじょっぱい煎餅をまとわせた菓子である。
22:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:27:16.85 ID:pVIxyO240
茶会が開かれる日になった。
場所は、小早川家の座敷。
外出がつらい紗枝に配慮してのことである。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:28:05.15 ID:pVIxyO240
以前の紗枝は、美しく均整のとれた身体をしていた。
しかし病のせいか、頰がこけ、腰回りが頼りないほど細い。
もしかすると、無理をして此度の茶会に出てきたのかもしれぬ。
24:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:28:42.26 ID:pVIxyO240
彼女は、他の来客と、にこやかに話などしている。
しかし周子の方は一瞥もしない。
やはり、まだ怒っているのか。
25:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:30:02.97 ID:pVIxyO240
そうなると菓子が不安になった。
おのろけ豆を皆に一粒ずつ持ってきた。
安価で、食べると大きな音が出る。
26:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:30:31.04 ID:pVIxyO240
だが、周子にとっては『以前のように仲良くしよう』。
そういう意味を込めた。
紗枝なら必ず意味を察するであろう。
27:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:31:01.44 ID:pVIxyO240
紗枝が茶を汲んで、皆に配り始めた。
菓子の見せ合いはもうすぐである。
周子は、そわそわと脚が落ち着かない。
28:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:31:47.45 ID:pVIxyO240
だが、周子がぐずぐずしていると、
他の者が小さな羊羹を取り出して、
勝手に紗枝の盛り皿に置いた。
29:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:33:01.84 ID:pVIxyO240
手前勝手で、まったく忌々しい。
周子はきりきりと胃がもたれた。
普段の飄飄さが、まったく息を潜めてしまっている。
30:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:33:34.30 ID:pVIxyO240
紗枝が茶を配り終わった。
先ほどの羊羹女を除いて、
皆もそわそわしはじめた。
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