14:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:17:58.79 ID:pVIxyO240
そうして口も聞かず、顔も合わせないようにして、数年経った。
しかし今度の茶会は、紗枝が顔をだす最後の茶会。
もしかすると、今生の別れになるやもしれぬ。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:18:57.01 ID:pVIxyO240
京には死の匂いが充満していた。
周子が発つ前から、にわかに飢饉の予兆があったが、
まさかここまで深刻なものになろうとは。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:22:13.09 ID:pVIxyO240
貧しい住民達はおかしくなっていた。
死体を食らうことはなかったが、
毎日大量に出る遺灰を、これでもかと畑にまいていた。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/06/02(金) 12:22:43.76 ID:DjqgVPUUo
ふみふみ「佃煮にして食べればよいのです…」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:23:50.15 ID:pVIxyO240
まさか、紗枝も畑の肥やしになるのか。
周子はふとそう思ったが、それはありえぬことであった。
京は富裕層と貧困層で分断されている。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:24:24.76 ID:pVIxyO240
周子は塩見家に戻った。
家族らは帰郷の理由を承知である。
だから何も言わず、周子を菓子蔵に通してくれた。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:25:18.57 ID:pVIxyO240
周子は棚の前で頭を悩ませた。
茶会にどの菓子がふさわしかろうか。
また羊羹など持っていて、
21:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:26:17.50 ID:pVIxyO240
ふと、大皿いっぱいに盛られた
おのろけ豆が目に入った。
豆に、あまじょっぱい煎餅をまとわせた菓子である。
22:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:27:16.85 ID:pVIxyO240
茶会が開かれる日になった。
場所は、小早川家の座敷。
外出がつらい紗枝に配慮してのことである。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:28:05.15 ID:pVIxyO240
以前の紗枝は、美しく均整のとれた身体をしていた。
しかし病のせいか、頰がこけ、腰回りが頼りないほど細い。
もしかすると、無理をして此度の茶会に出てきたのかもしれぬ。
24:名無しNIPPER[saga]
2017/06/02(金) 12:28:42.26 ID:pVIxyO240
彼女は、他の来客と、にこやかに話などしている。
しかし周子の方は一瞥もしない。
やはり、まだ怒っているのか。
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